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第64回NHK杯2回戦第13局-張栩九段vs謝依旻六段
10月30日に第64回NHK杯の2回戦第13局が放送されました。
黒番は謝依旻六段(26歳)。
引用:http://www.nihonkiin.or.jp/player/htm/ki000398.htm
台湾出身。黄孟正九段門下。
日本棋院東京本院所属。
攻め気の強い女流棋士の中でも特に激しい碁が特徴です。
先日の女流本因坊戦で藤沢里菜三段に負けてしまいましたが、それ以外の女流タイトル4つを保持しています。
今回の対局相手の張栩九段とは同じ台湾出身であり、同じ研究会で勉強しています。
1回戦では瀬戸大樹八段に勝利しています。
→第64期NHK杯1回戦第4局~謝衣旻女流本因坊vs瀬戸大樹八段
白番は張栩九段(36歳)。
引用:https://www.nihonkiin.or.jp/player/htm/ki000331.htm
台湾出身。林海峰九段門下。
日本棋院東京本院所属。
前期のNHK杯の優勝者。
若い時から活躍していて『戦後5人目の名人本因坊』『囲碁史上初の5冠』『囲碁史上2人目のグランドスラム』などの記録を打ち立ててきました。
また詰碁作りの名人でもあり、恋人に詰碁の写真を送っていたエピソードは有名です。
→『張栩の詰碁―難しい詰碁を簡単に』(MYCOM囲碁ブックス)
対局の内容
■黒:謝依旻 ■白:張栩
■結果:白9目半勝ち
序盤から黒番の謝六段が積極的な姿勢。
黒23の強情な打ち方に、白は左辺をハネずに白26の冷静で足早なヒラキで対応します。
黒31まで、黒は厚み白は実利でハッキリとわかれました。
黒33のハサミに白34のツケヒキを打ったのは、厚みを意識した工夫です。
AlphaGoと李世ドル九段の対局で打たれた形でもあります。「私の一手」でのコメントによると、張栩九段はそれを取り入れたようです。
白38に対する黒39が微妙な手で、左下を先手で間に合わせて白46にまわり白に流れが傾きました。
そして白は右辺と上辺で地を稼ぎます。
中央が黒模様になりましたが、白に弱い石がないので地にするのが難しいタイプの模様です。
黒91の囲いに、白94から102まで軽く消されて黒が勝ちにくい碁形。
その後は、解説の蘇耀国九段が張栩九段の『趣味』と言う細かいところで最善を探す姿勢やコウの乱発により、差が開きました。
お互いに勝敗は理解していても投げ場がないので打ち続け364手で終局し、白番の張栩九段の9目半勝ちになりました。
勝利した張栩九段は、次の対局で山城宏九段とあたります。
来週(11月6日)の放送は趙治勲九段と結城聡九段の対局です。
PS:この碁の勝ちっぷりを見て張栩九段の著書『勝利は10%から積み上げる』を思い出しました。
「プロなら正解の出るところで間違えてはいけない」「時間は終盤に残しておく」など、張栩九段の勝負哲学が語られている隠れた名著です。
※※※トーナメント表※※※
Aブロック
Bブロック
参考:NHK杯公式サイト(http://cgi2.nhk.or.jp/goshogi/gotou/)
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