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日韓エキシビションマッチ:李世ドル九段vs井山裕太九段【ニコニコ生放送レポート】

2月26日に韓国の李世ドル九段と日本の井山裕太九段によるエキシビションマッチが行われました。

李世ドル九段は、将棋の電王戦の振り駒(先手を決める儀式)をするために来日しました。ちなみに李世ドル九段は特に将棋が得意というワケではなくAlphaGoと対局したという人工知能つながりで呼ばれたようです。

今回の対局は、ワールド碁チャンピオンシップを盛り上げるためのエキシビションマッチです。

ワールド碁チャンピオンシップは3月21・22・23日に行われる大会です。
井山裕太九段、半昱廷九段、朴廷桓九段の3名にDeepZenGoを加えた4棋士で争われます。

ワールド碁チャンピオンシップ公式サイト→http://www.worldgochampionship.net/

Zenは最近、ネット対局場の野狐にて多くの棋士と対局しています。
余正麒七段、大橋拓文六段、許斐然二段、張学斌六段、党毅飛九段、王若然二段、孔令文七段、厳在明三段、林書陽七段、李東方初段などをなぎ倒しています。

ちなみに「エキシビジョン」と言いがちですが「エキシビション」のほうが正しいようです。「シュミレーション」「シミュレーション」と同じ感じです。

日韓エキシビションマッチ:ニコニコ生放送

■黒:李世ドル ■白:井山裕太
■結果:黒中押し勝ち

 

 

ニコニコ生放送の大盤解説は趙治勲九段と下坂美織二段です。
さらにZenの勝率予想値や候補手も表示されていました。

みんなの期待通り趙治勲九段は対局開始前から、李世ドル九段との仲良しエピソード、お悩み相談者への適当なアドバイス、などなど飛ばしていました。

そんな趙九段ですが、対局が始まると一気に囲碁モードになりました。視聴者をどんな棋力だと想定しているのかというレベルの深いことを解説してくれました。

ダイジェストでお伝えすると、

・黒1が星のとき、白2をタスキではなく横の小目に打つと黒の考えることが多くなる。

・中国とか韓国の碁は、もとからコミがあるスタート。日本は江戸時代のコミなし碁から始まっているから、考え方が違う。

・始まって早々に白が優勢だと判断しているZenを見て、趙九段がコミ7目半をどう思うか下坂二段に質問。下坂二段の「私はどちらでも変わらない」という回答に対して「変幻自在だ、強いですね」という女流棋士いじり。

・趙九段は「コミ7目半は黒だったら投げたくなる」という評価。

・僕(趙九段)の言った手が正しいとしても、井山さんが打ったらそっちのほうが正しいと思われるよね。

・AIも大した手は打たない、手品じゃない。小さな幸せの積み重ね。下坂さんと一緒に解説できるのも小さな幸せ、いや大きな幸せだ。


・どちらが勝つかのアンケート。選択肢が「李世ドル九段」と「井山裕太名人」。唯一持っていない名人位を使ったことでコメントに高尾九段へのいじりが発生。

・趙九段が途中からZenのことをドワンゴと言い出す。ここでドワンゴだったらどう打つか、など。

・Zenの候補手を出すシステムで、1手前の局面を見られないことに対して「過去には戻れない」と連呼。

・黒19のアテは38年前に開発された手だと主張するも、詳細は明かさず。

・難しい局面でどう打つか分からないのは自分が弱いから分からないんじゃなくて、誰でも分からない。

・捨て石が出来て一人前だと言われていたが、最近のAIは捨て石が上手くなって強くなった。

・趙九段の対局日の食事。朝食、娘が作ってくれるおにぎりを電車で食べる。昼は食べない。

・趙九段は、正しいかどうかは別としてコミ5目半が良いと思っている。日本の文化で育ったから、白番で如何に勝つかという白の芸を大切にしたい。

・考えるタイミングや相手と同じ形にしないなど、『強そうに見せる』テクニックが大切。

・往年のライバル小林光一九段との対局で印象に残っているのは、本因坊戦で勝った碁とニヤニヤしながら回答。

・最近の若手では一力遼七段推し。他には芝野虎丸三段と大西竜平二段。

・昔は日本棋院に行ったりしないと勉強できなかったけれど、今はネットで勉強できるから誰でも強くなれる。だから若手の強い人も増えている。

・黒43は右下隅の白が取れないなら良くない手。生きられる前提で広げて打ったほうが良い。

・白44に打った時点では白乗り。Zenは49%だけど、僕(趙九段)のほうが正しい。

・黒45の抜きは白を攻めようという手。打たれるとドキッとするけど、守っていて充分だと感じることが重要。

・白46は井山裕太九段が自信アリとみた手。

・白46に受けたので、黒47に対してはサガリで全部取りにいくのが道理。

・黒49のトビは、上辺の利かしと隅の味を「りゃんみ」されるのがタマランので解消した手。

・慣れている持ち時間の違いは影響が大きい。でも長時間だから最善に打てるとかではなく、対局中の気持ちを上げていくタイミングの違い。

・秒読みは現地の言葉。

・(白60から64あたりで)生きる手がたくさんある時のほうが難しい。より効率良く、より得して生きようとして失敗してしまうことがある。

・井山九段が上手くいく図を作り「夢のような世界」と連呼。

・「手がありそうだと何かやりたくなって持ち込みになるよね」と、下坂二段に同意を求める。

・(Zenの評価値を見て)これ94とか絶望みたいなこと言うね、でもこれ計算間違いだったらZen恥ずかしいよね。

という感じです。

やはり趙治勲九段の独壇場でした。

対局後はホンマルグンセム改め洪清泉三段が通訳で登場。

そして大盤を使い両対局者と趙治勲九段とでワチャワチャと検討が行われました。

何を話しているのか分かりませんが3人とも楽しそうでした。

検討中に「クルックナー」という韓国語が何度も出てきて、コメント欄で「鳩だな」って意味だよと説明した人がウケていました。※本当は「なるほど」という意味。

それでは3月21日からのワールド碁チャンピオンシップをお楽しみに!



参考:ニコニコ動画「囲碁 日韓エキシビションマッチ 李世ドル九段 vs 井山裕太九段」(http://live.nicovideo.jp/watch/lv290690115)

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