人工知能VS人間の戦いの歴史(将棋編)

人工知能と人間の戦いが盛り上がっています。
ここで歴史を振り返ってみましょう。
まずは将棋から。

ハンデ戦は省いて平手(ハンデ無し)の歴史だけ振り返ります。

2005年9月18日
イベントで将棋ソフトTACOSが橋本崇載五段(当時)と対局。
内容的には押され気味だったものの、橋本五段は逆転勝利。
「プロ棋士VSコンピュータ」の対戦をビジネスチャンスととらえていた日本将棋連盟は全棋士にコンピュータと無断で将棋を指すことを禁じる。

ここで橋本五段が勝ったのは人間にとって幸運だった。

2007年3月21日

コンピュータソフト「Bonanza」と将棋界で最も賞金が高いタイトルを保持していた渡辺明竜王(当時)が対戦。

中盤まではBonanzaが優位に進め、「竜王が負けるのでは?」と思わせる展開に。
終盤でBonanzaが指した疑問手を渡辺竜王が的確にとがめ、逆転勝ち。

ここで渡辺竜王が負けそうになったことにより、日本将棋連盟はより一層危機感を高める。

「近い将来、コンピュータに負けるのは確実。
その時期を後ろにずらすために時間稼ぎしよう」

という思想に切り替える。

タイトルホルダーを出すなんてとんでもない。

女流棋士や引退棋士などを出すなど、牛歩戦術を繰り出してきた。

2010年10月11日

将棋ソフト「激指」、「GPS将棋」、「Bonanza」「YSS」による合議制で作られた「あらか2010」と女流棋士清水市代女流王将が対戦。
あらか2010が勝利。

2012年1月14日
名人経験者の米長邦雄永世棋聖が将棋ソフト「ボンクラ―ズ」と対戦。
第1回電王戦と名づけられ、ニコニコ生放送で中継される。

8年前に引退していた米長名誉棋聖では歯が立たず、ボンクラ―ズが勝利する。

このとき、米長名誉棋聖は若手棋士やタイトルホルダーを自宅に呼んでボンクラ―ズと対戦させた。

結果は人間棋士がほとんど負けたらしい。

将棋ソフトが人間を越えたのは2012年ぐらいだったのだろう。

~~団体戦開始~~

2013年3月~4月

第2回将棋電王戦が行われた。
5人VS5ソフトによる団体戦に形式が変更された。
ここではできるだけ簡単に、要点だけを記す。

3月23日

阿部光瑠四段VS習甦

習甦を貸し出してもらった阿部四段は徹底研究。
序盤で習甦の攻め過ぎを誘い、勝利。

総合成績 人間の1勝

3月30日

佐藤慎一四段Vponanza

ponanzaを貸してもらえなかったので佐藤四段は有効な対策を打ち出せなかった。

結果はponanzaの勝利。
女流でも引退棋士でもない「正棋士」が公の場でハンデ無しで将棋ソフトに負けたのは初めて。

将棋界に衝撃が走った。

総合成績 人間の1勝1敗

4月6日

船江恒平五段VSツツカナ

船江五段はツツカナを貸してもらっていたが、本番のツツカナには4手目を貸与していたものとは別な手を指すように特別プラグラムが組み込んであった。
序盤から研究外の力戦形に突入する。

両者ともミスをして一進一退の大熱戦。
最後は1分の秒読みでも崩れないツツカナが勝利。

総合成績  コンピュータの2勝1敗となった。

4月13日

塚田泰明九段VSPuella α

序盤と中盤ではPuella αが優勢に指し進めるが、塚田の王が敵陣へ入玉した瞬間、Puella α
が乱れる。
入玉したときに指し手が乱れるのはコンピュータ将棋の弱点でもあった。

230手で持将棋(引き分け)

総合成績 これでコンピュータの2勝1敗1分となった。

4月20日

三浦弘行八段VSGPS将棋

三浦八段は当時A級で最後まで名人挑戦者争いしていたトップ棋士。

GPS将棋は667台のiMacを駆使して対抗する。

序盤は三浦八段の十八番とされている脇システムとなった。

しかしGPS将棋はじわじわとリードして完勝。

三浦八段は「自分のどこが悪かったのかわからない」と振り返った。

トップ棋士が真正面から力負けしたという事実は衝撃的だった。

最終成績 コンピュータの3勝1敗1引き分け

「もしかしたら羽生さんが指しても負けるかもしれない。なら出せないな」

という論理により、翌年も5VS5の団体戦が行われることになった。

~~第3回電王戦~~

2014年の3月から4月にかけて第3回将棋電王戦が開催された。

第2回の結果を見たドワンゴは新しいルールを追加する。

1、持ち時間を長くする。
4時間→5時間へ

2、人間は1人なのに、コンピュータをたくさんつなげるのはずるい。

コンピュータは1台だけだぞ。

3、事前研究できないのは人間に不利だ。

本番と同じソフトとハードを棋士に貸してあげる。
思う存分研究して弱点を探してくれ。

これらの変更により、人間が有利になった。
棋士の反撃が始まるかと思ったが…

3月15日

菅井竜也五段VS習甦

菅井五段は練習対局で19連敗するなど歯が立たなかった。

研究を進めると勝率は5割まで上がった。

本番は習甦が力強い指し回しで完勝する。

総合成績  コンピュータの1勝。

3月22日

佐藤紳哉六段VSやねうら王

序盤は佐藤六段が指しやすくなるも、中盤で疑問手を放ち逆転。
やねうら王がじわじわと差を広げて勝利。

総合成績  コンピュータの2勝

3月29日

豊島将之七段VSVSS

豊島七段は1000局近くの練習対局によりYSSの癖をつかんだ。

本番は豊島七段の研究通りの展開に。

研究にはまるとソフトは弱い。

YSSに何もさせない展開で豊島七段が初勝利を上げた。

総合成績 コンピュータの2勝1敗

4月5日

森下卓九段VSツツカナ

序盤は森下九段の得意戦型である矢倉に。

中盤のミスを的確にとらえ、ツツカナが勝利。

総合成績 コンピュータの3勝1敗で勝ち越し決定。

4月12日

屋敷伸之九段VSponanza

当時の屋敷はA級棋士。陥落決定しての対局となった。陥落して即復帰していることからもわかる通り、トップ棋士である。

序盤から両者とも力を出し切り、熱戦に。

一進一退の攻防の末、103手目が致命的なミスとなり屋敷は敗れる。

最終結果  ソフトの4勝1敗

マシンを1台だけにした上に研究してもコンピュータは強かった。

当時は「特定のソフトにだけ通用する必勝法で勝っても意味がない。

相手の弱点を衝くのではなく、正々堂々と実力で勝ちたい」という雰囲気が強かった。

勝ったのはYSSの弱点を調べた豊島七段のみだった。

もし次も負けたら羽生さんや渡辺さんなど、タイトルホルダーを出すしかないという風潮も出て来た。

翌年からはコンピュータの弱点を衝いて勝とうという空気へ変わっていく。

~~コンピュータの弱点を探る戦いに~~

2015年の3月から4月にかけて将棋電王戦FINALが行われた。

5VS5の団体戦は今回が最後と発表された。

持ち時間は5時間のまま、コンピュータは1台で本番と同じソフトとハードで棋士は研究できる。

渡辺明は「コンピュータ将棋に詳しい世代かる、活躍中の精鋭棋士という顔ぶれになった。これよりも明らかに上位というメンバー構成は容易ではなく、もし結果が出なければタイトル保持者が出るしかないという雰囲気になるだろう」とコラムで語っている。

3月14日 

斎藤慎太郎五段VSApery

序盤から優位に進めた斎藤五段が完勝する。
研究の成果が生きた。

総合成績  人間の1勝

3月21日

永瀬拓矢六段VS Selene

事前研究により、永瀬六段が押し気味に指し進める。
終盤では勝勢に。
角の成らずを認識できないSeleneの弱点をとがめて反則負けとなったが、反則自体にはあまり意味がない。

事前研究を尽くした永瀬の完勝譜だった。

総合成績 人間の2勝

3月28日

稲葉陽七段VSやねうら王

中盤で優勢を築いたやねうら王がそのまま押し切って勝利。

総合成績 人間の2勝1敗

4月4日

村山慈明七段VSponanza

ponanzaは指し手がランダムになっているので事前研究がしにくい。

本番は序盤から練習とは違う形になったため、研究が活きない形になった。

こうなると人間は苦しい。

じわじわと優勢を拡大したponanzaが勝利。

総合成績  2勝2敗で大将戦に

4月11日

阿久津主税八段VSAWAKE

事前研究により、AWAKE特有の弱点が発見された。

2八に角を打たせる戦法である。

この弱点はコンピュータ特有のものであるらしく、AWAKEだけでなくponanzaなどもこの弱点を抱えている。

弱点を衝かれたAWAKEの開発者巨瀬さんは21手と言う異例の短手数で投了する。

最終結果 人間が3勝2敗で勝利。

人間が勝ち越したものの、コンピュータの弱点を衝いて勝利した印象のシリーズだった。

コンピュータが人間よりも強いのは当たり前。
でも弱点を探せば何とかなるというイメージを植え付けることとなった。

~~再び、個人戦へ~~

2016年4月から5月にかけて第1期電王戦が開催された。

2015年6月に新設された新棋戦、叡王戦の優勝者山崎隆之八段とponanzaが2番勝負で対戦する(現在進行中)

持ち時間は8時間に延長し、二日制に。

パソコン1台、事前研究ありは従来通り。

4月9-10日

山崎隆之八段VSponanza の第1局

ponanzaは序盤のランダム性が高く、事前研究と同じ進行になることはほとんどない。

ponanzaの指し回しは人間の理解をはるかに超えていた。

山崎八段にいいところはなく、ponanzaの完勝だった。

これが人間VS人工知能(将棋編)です。

ものすごく長かったですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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