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もし院生が100人の村だったら…『HOPE~期待ゼロの新入社員~』特別企画

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7月17日からスタートするフジテレビのドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』。

この物語の主人公は、囲碁のプロを目指していた元『院生』です。
しかし、囲碁のプロを目指す『院生』と言われてもイメージがつかみにくいと思います。

そこで、今回は『院生』を100人の村に縮めて考えてみましょう。

ここでは日本棋院東京本院の院生、さらに男子と女子だといろいろな面で違うので、男子院生の村だとします。

『院生』村の実情

ここは男子院生の村。
100人の男子院生がいます。

100人のうち11人がプロになれます。
そのうち2人はトーナメントでバリバリ活躍できます。

57人は3年以内に院生をやめます。

年齢制限(現在は17歳以下)まで院生であり続けるのは24人。

外来としてプロを目指すのは15人。
そのうち6人は年齢制限の22歳まで受け続けます。

院生100人のうち、82人が高校へ進学します。

38人が大学へ行きます。そのうち17人は囲碁による1芸入試で大学に合格しました。

院生100人のうち、3人が22歳まで中卒(高校中退)で無職です。

『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の主人公である一ノ瀬歩君はこの3人になってしまいました。

これだけでは意味が分かりにくいと思うので詳しく説明します。

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院生100人のうち11人がプロになれます。
そのうち2人はトーナメントでバリバリ活躍できます。

トーナメントプロになれれば年収1000万も夢ではなく、タイトルを取れば年収1億に届くかもしれません。
(生涯に1度でも年間に1億稼げるのはプロの中でもごくわずか。プロ100人に1人、院生なら1000人に1人だけです)

トーナメントで活躍できなくても段位によって基本給がもらえます。
対局料もいただけます。

それ以外にも囲碁の普及をしたり、ファンに囲碁を教えることによって生計を立てています。

プロになれれば院生になったときの目標が達成できるので幸せです。

問題はプロになれない89人。

『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の主人公、一之瀬歩君はこの89%に入ってしまいました。
プロになれなかったらどうなるのでしょうか。

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100人の院生のうち57人は3年以内に院生をやめます。

院生になる人は『絶対にプロになってやる』という志を抱いて院生になります。

しかしプロになれるのは11%という狭き門。

レベルの高さに驚いたり、なかなか勝てなかったりしてやめていきます。

高校受験のためにやめたり、高校入学の時点でやめる人が多いようです。

この人たちの夢は破れてしまいましたが、学業と言う一般的な道に戻れました。

傷は浅く、一般社会に問題なく適合できます。

院生でいられるタイムリミット

院生100人のうち年齢制限(現在は17歳以下)まで院生であり続けるのは24人。

院生には年齢制限があります。

昔はやめるまで院生として頑張るのが一般的でしたが、プロへの見切りは年々早くなる傾向になってきました。

プロを目指し続けた方がいいか、あきらめた方がいいのかは誰にも判断できません。
自分で決断するしかないでしょう。

最後まで諦めない人たち

院生100人のうち外来としてプロを目指すのは15人。
そのうち6人は年齢制限の22歳まで受け続けます。

院生をやめた後もプロになる道は残っています。

22歳になるまでは一般枠(外来)でプロテストを受けることができます。

昔は外来としてテストを受ける人が多かったのですが、外来が制度的に不利になったことにより人数が減りました。

一ノ瀬歩君はこの外来テストにも落ちてしまいました。
プロへの道は閉ざされています。

よく言えば『最後までプロを目指して頑張りました』と言えますが、
逆にいうと『身分不相応な道に挑み続けてしまった』と言われてしまいます。

社会では『22歳まで囲碁をあきらめずにやるなんてすごいよ。ぜひうちの会社で働いてくれ』と言われることはまずありません。

そんな場合でも学歴があると一般社会に舞い戻れます。

それでは院生の学歴事情を見てみましょう。

院生の進学事情

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院生100人のうち82人が高校へ進学します。

一般的な高校進学率は97%なのでやや低いです。

これは

1:囲碁が強くなるためには学歴は関係ない。
2:囲碁の道一本ではなく、保険を掛けるなんてかっこ悪い。
3:勉強が大嫌いだから高校なんて行きたくない。
4:勉強する時間を削って囲碁の勉強をしたい。

など、いろいろな理由があります。

しかし、院生の高校進学率は右肩上がりで上がってきました。
昔はもっと低く、今は高いはずです。

一ノ瀬歩君はお父さんが他界したことにより、高校卒業できなかったみたいです。

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院生100人のうち38人が大学へ行きます。
そのうち17人は囲碁による1芸入試で大学に合格しました。

早めにプロを諦めた人は普通に大学へ進学します。

18歳ぐらいまで院生をやった後に高卒認定試験(旧大検)を受けて大学に進学する人もいます。

このとき、1芸入試を活用することが一般に比べると多いです。

入試の時、

『囲碁に打ち込み、プロを目指していました』
『私は囲碁が強く、高校選手権で〇位に入賞しました』

などとアピールすると自分の偏差値よりも高い大学へ行けることが多いです。

慶応や早稲田、立命館大学が有名ですが、他の大学でも1芸入試はあります。

もし偏差値が高ければ一般入試を受ければいい。
囲碁をやる人は勉強もできる人が多く、院生をやめた後、東大に進学する人もいます。

それでは、進学せず22歳までプロを目指していた人はどうなるのでしょうか。

ネバーギブアップ…

院生100人のうち3人が22歳まで中卒で無職です。

人生のなかでいろいろなことを学ぶべき時期、20代前半までを囲碁に費やしてしまいました。
コミュニケーションや社会常識に乏しい場合もあります。

かなり追い詰められてしまいました。
働くのは容易ではありません。

人数が少なくなってしまいました。
ここからはいろいろな道があります。

例1)高卒認定試験を受けて大学へ行く

普通に進学するのに比べると4年ぐらい遅れてしまいますが、普通の社会復帰を目指す作戦です。

例2)資格を取る

これはいろいろな資格があります。
大学へ行かなくても就職のために高卒認定試験を取る場合もあります。
税理士や司法書士などの難関資格から介護士など幅広い道があります。

例3)バイトする

生活するためにはお金が必要なので働かなくてはいけません。
正社員になるのは無理でもバイトとしてなら雇ってくれます。

例4)囲碁業界で働く

これは王道ですね。
もしかしたらこれが1番多いかもしれません。
インストラクターとして囲碁を教えたりすれば囲碁を勉強したことを役立てられます。
でも男だとなかなか雇ってくれないことが多いのが現実です。

例5)親戚や知り合いのコネで働く

一ノ瀬歩君のようにコネで働くのは実際によくあります。
親戚に自営業をしている人がいると紹介してくれることが多い。
何年か働いて職歴と実力を作れば普通に働けるようになります。

一ノ瀬君はどのような道を進んでいくのでしょうか。
かなり苦しい道になると思いますが、頑張ってくれると信じています。


このような囲碁界の事情はあまりオモテに出ません。

基本的なことが知りたいのなら『ヒカルの碁』はリアルな現実が描かれているのでオススメです。

他には『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の原作である韓国の『未生(ミセン)』も、なかなか面白いです。

この記事を書いた人

囲碁界の情報屋A
囲碁界の情報屋A
囲碁界に詳しい謎の情報屋。
囲碁界の情報屋Aが書く記事は怪しさ満点なので東スポのような感じで読んだ方がいい。

「1を10のように言うことはあっても、0を1のようには言わない」が口癖。

ルールを知らない人にも囲碁を楽しんでもらえるようにあえて過激な記事を書いているという噂も…
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